知らない街の交差点で道を尋ねられた。身なりの美しい女性であったが
話が嚙み合わない。 介護の経験から、もしや? 明確な答えが出来ず
交番を探し尋ねた。 お巡りさんは、その方に丁寧に接していらした。
左手薬指の高価な指輪を、優しくなでながらお話される姿が、心残った。
交番を出る時、ご婦人は私の手を握り『ありがとう』を、感動しました。
外にお連れ様が立っていらして、15年間という長い介護生活の、苦悩の
一端をお話下さった。 自分の介護生活を思い出しながら、帰路へと。
感謝の気持を持たれるご婦人が母と重なった。痴呆でしたが、最後まで忘
れなかった言葉でした。介護する身は、どんなに救われたか。。。
「介護は自分が通って来た道、老いはこれから進む道!」
人生の最終章、どんな状態でも『ありがとう』を、言える人でありたい。
紅葉のように鮮やかな夕焼けを眺めながら、そんな思いを胸に刻んだ!
きもの着付け教室 衣香(KINUKA)糸賀文音