鶴見和子さんが編集された名随筆、「着物」 を一気に読破。。。

中勘助・芥川龍之介・柳田國男・ 宇野千代・志村ふくみ中村汀女・竹原はん・白洲正子

有吉佐和子 他多数(敬称略)そうそうたる方々の随筆です。

鶴見和子さんがお書きになられた「きものは魂のよりどころ」の一文を。。。

 

 

 

 

 きものを着ていると、心が落ちつく。自分が自分であることを確認できる。したがって、

きものを着ているときは、千万人といえども我ゆかん、という気分になる。ひとりでもの

を書いている時も、人の前で話す時もおなじである。きものは、それによって自己主張の

できる魂の依代(よりしろ)なのである。海外で会議に出たり、講演したりする時は、

とくにたよりになる。

 

 日本人の民間宗教の根底にあるのは、アニミズムだと私は考えている。アニミズムとは生

きているものにも、生きていないものにも、森羅万象にそれぞれ固有 の魂がある。

という信仰である。いにしえ人は、人間の魂は、その身を離れて、ものに憑依すると信じた。

したがって、人が心をこめてものをつくれば、その人の魂が、そのつくられたものに入る。

もともときものづくりは、手仕事であった。糸を紡ぐ人、染める人、織る人、縫う人の魂が

そこにこもる。


 まずつくった人の魂がきものに入る。そしてそれを着る人の魂と交流する。

    
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 きものは魂の出会いをとりもつ仲人でもある。

 

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このご本を贈ってくださった方に、感謝申し上げます。

 

きもの着付け教室 衣香 糸賀文音