戦争などで、命について特別な思いをはせてしまう八月が、いる! 個人的には二昔前の今日、母が散り。若き頃には、新しい命が舞い降りた。戦争を知らない私ですが、生死関わる特別な月でもあります。

 

 

愛読書・堀切辰一さんの「布のいのち」の中で、心から消えないお話があります。

今では想像も出来ない悲惨な生活苦の中で、「間引き」という風習があった。生まれたばかりの嬰児を、養育できず闇から闇に葬った・・・。

そんな時代背景があった大正時代に、4か月で流産をした、母の心情が語られています。

夏の農作業の途中で、流産をした!

体調が悪かったが、働かねば生活は成り立たない。まとっているものは、短いはんてんと腰巻だけ・・・。

腰巻は外せず、腰巻に比べ高価なはんてんは使えない。母親は苦渋の選択で、わが子を「里芋の葉」で幾重にも丁寧に包み、藤かずらで結び、手にさげた。

それは、それは、重かったそうです!

村の共同墓地に深く深く埋め、おひとりで弔った。

わずか4か月であったが、自分のお腹にいた子供!涙があふれとまらなかった。日の目を見なかっただけでなく、「里芋の葉」の衣に包んだことへの、自責の念が・・・。

このお母様は終生 「親は何ごとも子供本位でなければ親の資格はない」と、ご自分を責められていたようです。

間引きがあった時代、母親の子供に対する優しい思いを重ね合わせ、可愛いわが子を間引きせねばならなかった、母親たちの苦しみや哀しみは、想像を絶する。実体験したことでないので、どんな言葉で表現して良いのか、わからない!

人道と生活苦との相克の果てに行われた処置・・・。妻は夫の従属者であると、言われた時代のことであった。

 

時代は変われど、今、私たちは「コロナ禍」で、命と向き合っている! 戦争は知らず、時代背景は高度成長。近年、リーマンショックはあったが、総じて、のほほんと生きて来た私です。

悲しいけれど、豊かさの中で、増え続ける自殺の実態。

そんな八月が終わろうとしている!

 

「里芋の葉」の衣の赤ちゃんは、幸せに旅立ったように思えます!