「葉月」は、私の心にはいろいろな刻印が押されている月でもあった! 母や祖父が身罷った月でもあり、新しい命を授かった月でもある。戦争を知らない子供たちのひとりではあるが、この月は「命」について考えさせられる! もう一つ刻印されたものに、堀切辰一さんの「布のいのち」の中で、いつまでも心から消えないお話がある!

過去ブログではありますが、皆様に読んで頂けましたら、幸いです。

 

命について特別な思いをはせてしまう葉月が終わろうとしている。

 

里芋の葉の衣 : 堀切辰一さん_f0205317_13365164.jpg

 
 

堀切辰一さんの「布のいのち」の中で、いつまでも心から消えないお話がある! 今では想像も出来ない悲惨な生活苦の中で、「間引き」という風習があった。生まれたばかりの嬰児を、養育できず闇から闇に葬った。

そんな時代背景があった大正時代4か月で流産をした、母の心情が語られています。

夏の農作業の途中で、流産をした! 体調が悪かったが、働かねば生活は成り立たない。まとっているものは、短いはんてんと腰巻だけ・・・。腰巻は外せず、腰巻に比べ高価なはんてんは使えない。母親は苦渋の選択で、わが子を「里芋の葉」で幾重にも丁寧に包み、藤かずらで結び手にさげた。それは、それは、重かったそうです! 村の共同墓地に深く深く埋め、おひとりで弔った。

わずか4か月であったが、自分のお腹にいた子供! 涙があふれとまらなかった。日の目を見なかっただけでなく、「里芋の葉」の衣に包んだことへの、自責の念が・・・。

このお母様は終生 「親は何ごとも子供本位でなければ親の資格はない」と、ご自分を責められていたようです。間引きがあった時代に、母親の子供に対する優しい思いを重ね合わせ、可愛いわが子を間引きせねばならなかった母親たちの苦しみや哀しみは、想像を絶します!!

人道と生活苦との相克の果てに行われた処置・・・。妻は夫の従属者であると、言われた時代のことであった。

「里芋の葉」の衣の赤ちゃんは、きっと満たされて旅立ったような気がします。。。